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大阪地方裁判所 昭和56年(わ)2019号 判決

本店所在地

大阪市西成区旭三丁目六番一六号

有限会社末広バルブ製作所

(右代表者代表取締役向井完次こと 向井達治)

本籍

大阪市西成区旭三丁目一四番地

住居

同市同区旭三丁目六番一六号

会社役員

前田勲

昭和一四年一二月二三日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官加藤友朗出席の上審理を終り、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社末広バルブ製作所を罰金二、三〇〇万円に処する。

被告人前田勲を懲役一年六月に処する。

被告人前田勲に対しこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用はその二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社末広バルブ製作所は、大阪市西成区旭三丁目六番一六号に本店を置き、バルブ等の製造販売業を営むもの、被告人前田勲は、同会社の専務取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人前田勲は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  同会社の昭和五二年四月一日から同五三年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が一億一、二五二万一、一六六円で、これに対する法人税額が四、三三六万〇、五〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上架空仕入れを計上し、よって得た資金を無記名定期預金などとして留保するなどの行為により右所得の一部を秘匿した上、同五三年五月三〇日、同市西成区千本中一丁目三番四号所在西成税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一、七八六万八、七九三円、これに対する法人税額が五五二万〇、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により法人税三、七八三万九、九〇〇円を免れ

第二  同会社の同五三年四月一日から同五四年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が六、九五〇万三、一九九円で、これに対する法人税額が二、六一三万四、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により右所得の一部を秘匿した上、同五四年五月三一日前記西成税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一、三二二万五、二二七円、これに対する法人税額が三六七万九、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税二、二四五万五、三〇〇円を免れ

第三  同会社の同五四年四月一日から同五五年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が一億〇、〇九一万二、九六八円で、これに対する法人税額が三、九五〇万六、一〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により右所得の一部を秘匿した上、同五五年五月二九日前記西成税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一、九四四万九、八四〇円、これに対する法人税額が六九二万〇、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税三、二五八万五、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人有限会社末広バルブ製作所代表者向井完次こと向井達治(以下被告人会社代表者という)、被告人前田勲(以下被告人前田という)の各公判廷の供述

一  被告人前田の検察官に対する各供述調書(一〇通)

一  被告人前田の大蔵事務官に対する各質問てん末書(四通)

一  被告人会社代表者の検察官に対する各供述調書(四通)

一  被告人会社代表者の大蔵事務官に対する各質問てん末書(三通)

一  証人久志幸子、同貴島亮、同加村欣也、同松本五平、同横井啓文の各公判廷の供述

一  被告人会社作成の青色申告書提出の承認申請書謄本

一  登記官作成の法人登記簿謄本

一  被告人会社代表者作成の定款に関する証明書

一  大蔵事務官作成の各査察官調査書(一七通、請求番号一〇、一一、一三ないし二〇、二二ないし二八)

一  前田花子の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  全漢圭(八通)、全庚万(二通)、季牽九、竹綱貞夫、石橋良夫、岡村正広、前田幸一、長谷川安夫、三宅幸一、桜井宏一郎、水野茂、林弘、近藤彰男、水谷正の各検察官に対する供述調書

一  和田洋一郎作成の昭和五五年一一月一三日付(第六、第七分冊のみ)、同年一一月二五日付(第一、第六分冊のみ)各確認書

一  山田整作成の確認書

一  大蔵事務官作成の差押てん末書

一  押収してある売上仕入明細帳一綴、納品書控(末広バルブ製作所分)四冊、52/3―55/3期仕入帳四綴、51/3期仕入帳一綴、当座勘定元帳六枚、稟議書綴(宮本伸男)一綴(昭和五六年押第五八〇号の一、二の1ないし4、三の1ないし4、四ないし六)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(請求番号一)

一  被告人会社代表者作成の法人税確定申告書謄本(同四)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同二)

一  被告人会社代表者作成の法人税確定申告書謄本(同五)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同三)

一  被告人会社代表者作成の法人税確定申告書謄本(同六)

(法令の適用)

(一)  被告人有限会社末広バルブ製作所

各事実につき刑法六条、一〇条、昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一六四条一項、一五九条、刑法四五条前段、四八条二項、刑事訴訟法一八一条一項本文

(二)  被告人前田勲

各事実につき刑法六条、一〇条、前同改正前の法人税法一五九条(懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(第一の罪の刑に加重)、二五条一項一号、刑事訴訟法一八一条一項本文

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 加藤光康)

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